レゴ エネルギーセットの濃いめレポート2010/06/04



昨日、東京ミッドタウンのリエゾンセンターにてレゴエデュケーション社のプレス向けの新製品発表会が開かれた。今日はそのレポート。
会場には、実物が展示されていて、自由にさわることができた。
上の写真は、興味津々に実物をいじる3人。ロボコンマガジン編集長の竹西素子さん、ライターの松原拓也さんと私。

さて、その新製品は「エネルギーセット」。
価格や発売日などの薄めの情報は、一般メディアが取り上げると思うので、「レゴ エネルギーセット」などのキーワードで検索して欲しい。

ここでは、わかる範囲で濃い情報。


(1)は、「Eモーター」。コネクタはパワーファンクションと同じ。直付け。
チラシのスペックによると、パワーファンクションの小さい方のモーターよりも少しトルクが高いようだ。
発電用途向けの耐久性を高めてあるところが特徴。
普通のモーターは「電気を流して回す」ために作られているため、「回すことで発電する」という使い方をすると、モーター内部のギアが噛んで壊れてしまうことがあった。このモーターは、最初から「電気を流して回す」「回すことで発電する」の両方に対応した設計になっているため破損の心配がない。

(2)は、このセットの中心となる「エネルギーメーター」。
表面には、液晶ディスプレイとスイッチ類、電源出力端子、裏面には電源入力端子がある。また、おしりの方には蓄電池(上の写真では右端の濃いグレーの部分)がくっついている。
裏面の電源入力端子に(1)の「Eモーター」のコネクタを接続して、モーターをグルグル回すと、蓄電池に電気が蓄えられる。ディスプレイには、入力電圧、入力電流、入力ワット数、蓄積ジュールが、リアルタイムに表示される。
ある程度、電気が溜まったら、オレンジ色のスイッチを回す。すると、電源出力端子から電気が流れ、ディスプレイには、出力電圧、出力電流、出力ワット数が表示される。蓄積ジュールは刻々と減っていく。
楽しい‥w。



(3)は、付属のブレード。モーターで回すと結構しっかりとした風が起こる。
逆に風力発電を行う(風でモーターを回す)のは簡単ではない。貧血しそうになるまで息を吹いてもビクともしない。サンプルの写真には、本物の扇風機の風を使って回しているシーンがあった‥エコなのか、それ。w



(4)は、「ソーラーパネル」。ここに光を当てると発電する。従来のソーラーパネルよりも発電効率は上がっているはず。



(5)の部分には、唐突にMINDSTORMS NXTの端子が付いている。
ソーラーパネルやEモーターの発電量などを、センサーの返り値としてNXTに送ることができるようだ。(これは推測)

この他に、すでに出回っているLEDライトや延長ケーブル、6種類のモデル組み立て説明書が付属する。(サイエンス&テクノロジーセットと組み合わせて作る)

今まで、この手の教材で競争を企画すると、「いかに速く走るか」というレースになりがちだったが、このセットを使えば、「いかに効率よく走るか」というレースが可能となる。
たとえば、「蓄電池に80J(ジュール)を溜めて、この荷物をここからあそこまで運ぶ。到着後、残りジュール数が高いチームの勝ち」 − といったレースができる。
う〜実に楽しそうだ。



最後に昨日活躍された方々のスナップ。


新しくレゴエデュケーションの日本代表となった須藤みゆきさん。
発表会の冒頭で、レゴエデュケーションのミッションの説明、あひる作りの楽しいワークショップ、新製品の説明を担当された。


宇宙エレベーター協会の副会長、日本大学理工学部教授の青木義男さん。
宇宙エレベーターが、いかに効率的で、地球にやさしい交通手段であるか、わかりやすくご講義いただいた。


「エネルギーセット」を用いて、宇宙エレベーターのテザーを登る実演を見せてくれた玉川学園の生徒たち。引率は有川淳さん。
FLLやWROでも活躍しているだけあって、バランス調整やギア比など、ツボを押さえた設計のカッコいいクライマーを見せてくれた。拍手。

みなさん、本当にお疲れさまでした。楽しい新製品発表会をありがとう。

なお、着用の着物は川越唐桟(かわごえとうざん)の100番。呉服笠間で誂えたもの。

コメント

_ Eiichiro Ito ― 2010年06月04日 07:50

スピードや距離とは異なる「いかに効率よく走るか」を競うレースは工夫の余地がたくさんあって面白そうです。
今まで「競争」では作りが似てしまったり単調になったりしていました。トレードオフも経験できますし、いろんなアイデアも出そうな気がします。

_ 五十川芳仁 ― 2010年06月04日 09:00

●Eiichiro Itoさん
コメントありがとうございます。
本当に同感です。いろんなアイデアが浮かびます。
「効率」のために、メカや摩擦、空気抵抗あるいは制動充電など、考えることがたくさん出てきて、自分的にも、教育的にもワクワクします。

願わくば、蓄電池の個体差が少ないことを願うばかりです。(^_^;)
これが違ったら、レースになりませんからね‥。

_ naka ― 2010年06月04日 09:51

エネルギーセット、、良いですねぇ~。
これで教育方面で積極的に前に出て行けますね。
やはり、消費だけでは時代がね。

_ 五十川芳仁 ― 2010年06月04日 10:01

●nakaさん
新しい教育指導要領でも、教材としてかなり活用できる項目があり、前途有望です。
あとは、理科系先生が、「作って学ぶ」ことに意義を見いだしてくれるかどうかですね。

たとえば、「発電」の授業の教材として、「最初から完成している手回し発電機」を選ぶか、「少し時間をかけて手作りしないと完成しないレゴブロックの手回し発電機」を選ぶか − ということです。

_ TOM ― 2010年06月04日 10:10

レポートありがとうございます。
これは欲しい・・・これを読み、
私にとっては購入必須と・・・(^^;

通販のみなんですね・・・。

_ 五十川芳仁 ― 2010年06月04日 10:21

●TOMさん
原則的には、教育機関向けですからね〜。
ただ、新しい日本代表の須藤さんは、「今後、一般の方でも簡単に入手できるようにしていきたい」と話されているので期待しましょう。
いろんな関係先との調整が大変そうですが‥‥。私も応援します。(^_^;)

_ Kanabun ― 2010年06月04日 17:25

レポートありがとうございます。
かつて、子供が興味をもつ教材は、タミヤの工作シリーズとPICを使って泥臭く作るものだと思っていましたが、素晴らしい時代になりましたね。
さて、さっそく我が家の財務大臣に修正予算案を提出する準備をしないと…

_ けん・たっきい ― 2010年06月04日 19:40

発電・蓄電を主眼にしたセットは面白いですね。
同梱のプロペラが発電には貧弱だとのことですが、逆にレゴ部品でどこまで効率的な風車ができるかもチャレンジしがいがありそう。それこそ海賊船の帆とか使えばけっこういけるのでは?

_ 五十川芳仁 ― 2010年06月05日 04:26

●Kanabunさん
PICを使って教材を作れる人って、そんなにいないって。(^_^)

●けん・たっきいさん
いえ、プロペラは決して貧弱じゃないんですよ。いままでのレゴブロックのプロペラとしては一番の出来だと思います。
やさしい風で回らないのは、Eモーターのせいです。
手回し発電である程度の発電するため、ギアードモーターになっているので、回すのが結構重いんです。ただ、ギアをかましてやれば、発電量とトレードオフになりますが、やさしい風で回すことができるかもしれません。

当日、会場のサンプルモデルを組み替えて試すわけにはいかないですしね。(^_^;)

_ 関山 ― 2010年06月05日 13:21

濃いレポート楽しく拝見いたしました。

エネルギーメーターは、同じ仕事をした時の消費エネルギーを測ることで、動力効率を測るのにも使えるんですね。トレインファンとしては動力効率のよい機関車を造るレースやら、いっそレールの上の「機関車」vsゴムタイヤの「自動車」での勝負を行い、鉄道輸送の効率の良さを実感させるなんて使い方も考えてしまいました。

趣味的にも、勿論教育的にも面白そうなセットです。

_ 五十川芳仁 ― 2010年06月05日 16:59

●関山さん
コメントありがとうございます。
ただ、蓄電池の容量は非常に小さいものです。
トレインレールの大きなコースで、客車を曳いたら、1周できないかも。w
ま、それも楽しいかも〜。

_ gamme ― 2010年06月08日 12:34

エネルギーセット、いろんな実験に使えそうですねー!
その前に遊んでみたい大人です(笑)

_ 五十川芳仁 ― 2010年06月08日 14:36

●gammeさん
うんうん、私も早く遊んでみたくてうずうずしております。
iPad買ったばかりで、iPhone4も買うことになるだろうし、とことんさわりたいものがいっぱい。w

_ リョーワン ― 2018年08月03日 15:12

はじめまして。小4男子の母です。
エネルギーメーターでパワーファンクションモーターを回し動かす車を作り、いかに消費エネルギーを少なく走らせるかの実験をしています。今までに車体の軽量化、パトカー用のライトやledライトの有無、旧サウンドブロックの有無など試してみました。

次に、車軸につけたギアでさらにEモーターを動かして発電させ、エネルギーメーターに入力するという実験をしたところ、Eモーターを回すのに大きなパワーを使うためか消費エネルギーが大きくなりEモーターをつけた方が消費量が大きいというとてもエコとはいえない結果になってしまいました。
そこでここのコメントを参考にしてギア比を変えてみたところ、車輪側歯数8でEモーター側歯数8→歯数8で24→歯数8で40の順にエネルギー消費量が減りました。最後のギア比のみEモーターをつけない時より消費量が少なくすみました。

もともとこの実験を思いついたのは、発表会の記事の中で「1台目は、入力側にもモーターからケーブルを接続、いわゆる回生ブレーキにより発生する電気エネルギーを活用することで電力の消費を抑えるなどの工夫が施されている」という部分に興味を持ったからです。

この記事の中でいう『モーター』は私たちの実験でのEモーターとは違うのでしょうか。
もしかしてエネルギーメーターでEモーターを動かし、同時にエネルギーメーターの出力部分から変換コードで入力部分につなぐというショートしそうなことをしているのでしょうか。息子が試してみたがるのですがエネルギーメーターが壊れそうで試す勇気がありません。
発電エネルギーを利用してエネルギー消費量を抑えるというあたりのヒントをいただけますか。お忙しいところ申し訳ありませんが、よろしくお願いします。

_ 五十川芳仁 ― 2018年08月06日 12:49

楽しそうな研究で、深いところまで探求しているようですね。
残念ながら8年前の見聞なのでもうすでに忘却の彼方です。
入力、出力をショートカットしてもたぶん何もメリットがないと思います。
スイッチかなにかで、モーターを出力に接続するか、入力に接続するかを切り替えているのではないかと思います。
出力に接続して登り、入力に切り替えて自重落下でエネルギーを得る − という感じじゃなかと思います。

_ リョーワン ― 2018年08月06日 17:14

早速のお返事ありがとうございます。
スイッチで切り替えですね。降りる時に入力にする仕組みは楽しそうです。息子は電車も好きなのですが、回生ブレーキを理解するのに苦戦しています。
昨年夏にテクニックにはまり、レゴのしくみで遊ぶ本をはじめ赤青緑本も入手済みです。レゴブースト本も予約しました。息子は五十川さんの大ファンで、いつかお会いできることを夢見ています。

_ 五十川芳仁 ― 2018年08月08日 03:43

ありがとうございます。
いつかなにかの機会にお会いしましょう − と息子さんにお伝えください。

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