パーツ考察 − 18 ― 2010/05/17
今回は、電源の変換ケーブル。
上の写真は、これ。
BrickLinkでの名称は、「Power Functions Extension Wire」=「延長ケーブル」。
裏側。
明るい灰色のコネクタは、旧テクニックやMINDSTORMS RCXでおなじみの「2×2ポッチの電源コネクタ」が接続できる形状になっている。
つまり、このケーブルを利用すれば、パワーファンクションのバッテリーボックスで、旧テクニックのモーター類を動かしたり、逆に旧テクニックのバッテリーボックスやMINDSTORMS RCXで、パワーファンクションのモーター類を動かすことができる。
このケーブルは、「2×2ポッチの電源コネクタ」とMINDSTORMS NXTのコネクタを変換するケーブル。
前述のケーブルとこのケーブルを、上の写真のように組み合わせる。
すると、MINDSTORMS NXTでパワーファンクションのモーター類を動かしたり、パワーファンクションのバッテリーボックスで、NXTのモーター類を動かしたりすることができる。
NXTのモーターは大きすぎる、遅すぎる。かといって、「ポッチで固定」「偶数ポッチ」の旧テクニックのモーターは使いたくない。
そんな貴方。
上のケーブルを使えば、MINDSTORMS NXTでパワーファンクションのコンパクトなモーターが使い放題。いかがでしょう。
ただし、ケーブルだけで異様に場所を取るので、スタイリッシュに仕上げるのは厳しいか。
神奈川工科大学授業3回目 ― 2010/05/19

4月から受け持っている神奈川工科大学、ホームエレクトロニクス開発学科の授業。
昨日は、先週製作した製品のカタログ(パンフレット)を作り、プレスリリース(製品発表)をしてもらった。
なかなかユニークな製品が生まれた。(^_^)
上段左上から。
家庭菜園用小型耕耘機、種まき機能付き。
小物アクセサリーディスプレイ機。
シャープペン芯尖らせ機。
下段左から。
何でもおろし機。安全押し込みバー付き。
追尾型扇風機。
たたき式染み抜き機。
電気系の学生。メカものには若干不慣れな様子だったが、限りあるパーツで頭をひねり、みんなよくがんばってくれた。
カタログ作りやプレスリリースも、それなりにいい経験になっただろう。
いくつか「ジャパネットたかた」っぽいプレゼンもあったが、これも時代だろう。(^_^;)
これにて「プロダクトデザイン」の授業は終了。
実践プロジェクトの「テクニカルライティング入門」は、静かに進行中。
※学生たちの顔の露出に関しては了解を得ています。
パーツ考察 − 19 ― 2010/05/20
十字型のギア(ノブホイール)。これ。
BrickLinkでは「Technic Knob Wheel」という名称で、ギアのカテゴリには入っていない。
私は、上の写真のような感じで、軸を90度方向曲げるときによく使う。
上の写真のように、ギアを使っても同じ動力伝達ができる。
しかし、十字型ギアを使う大きなメリットが2つある。
【逃げる方向に力がかからない】
通常のギアやベベルギアを使う場合、負荷が大きくなったとき、どうしても逃げる方向(上の写真でいうと左側のギアは下方向、右のギアは右方向)へ力が働く。それはフレームの分解や緩み、ギアの空回りにつながる。
十字型ギアの場合は、大きな負荷がかかってもほとんど逃げ方向への力はかからない。つまり壊れにくいということである。
【位相を合わせやすい】
二足歩行や四足歩行などのマシンを作るとき、必ず「位相」というものを意識し、合わせる必要が出てくる。たとえば「こっちの足が地面に着いているとき、あっちの足が浮いている」というような相対的な位相である。
通常のギアを使う場合、歯数分の位相(16歯なら16種類の位相)を得ることができる。細かい位相合わせができる反面、持ち運びやギアの空回りなどで位相がズレてしまった場合、16種類の位相から合わせ直さなければならない。これが、結構面倒で気を遣う作業である。
その点、十字型ギアの場合、位相のバリエーションは4種類。細かい位相の調整は全くできないが、ズレてしまったとき、ほとんど頭を使わずに簡単に直すことができる。
こういったメリット(あるいはデメリット)を理解した上で、うまく付き合えば実に便利なギアである。
お台場カルカル・トークイベント大盛況 ― 2010/05/23

昨日、お台場 TOKYO CULTURE CULTUREで開催されたトークイベント「大人だってブロックX宇宙エレベーター」。
多くの方のご来場で大盛況の中、無事終えることができました。
クライマー製作体験には、MINDSTORMSユーザーズグループ(JMUG)ではおなじみの東谷さん、TVチャンピオンレゴブロック王選手権で準優勝したさいとうさん、greenzのライター石村さん、宇宙食堂の宇宙エレベーターガール、ささきくみこさんと西田妙子さんの4組、5名の方が参加してくださいました。

上の写真の背中の男性、右端がさいとうさん、そのとなりが石村さん。
一生懸命クライマーを製作中。

レースに向けて、スタンバイをしているところ。
左の明るいシャツの男性が東谷さん。右端の女性がささきさん、その左が西田さん。
中央でマイクを持っているのは、クライマーレースを上手に仕切っていただいた奥澤さん。

宇宙エレベーターガールにはさまれてニヤついている私。
(私の手だけ「上に参りま〜す」になってないし‥ これじゃ「なんかちょうだい」だ)
とまれ、要所を押さえた全体構成を考えてくださったドキュメンタリープロデューサーの河口歳彦さん、臨機応変の司会進行をしていただいたテリー植田さん、ビールで咽を潤しつつ饒舌に語ってくれた大野さん、お手伝いいただいた協会の方々、製作体験に協力いただいた方々、そして、カルカルのスタッフの方々。
みなさんのおかげで、無事楽しいイベントになりました。ありがとうございました。
もちろん、ご来場いただいたみなさんにも大感謝です。
私自身にとっても本当に楽しく有意義な一日でした。(^_^)
なお、今回着用した着物は青山えり華で購入した縞大島。(仕立ては別途)
電子出版を私的に考えてみる ― 2010/05/24
今、世間の話題となっている「電子出版」を、私だけの視点で考えてみる。
決して一般論を語るつもりはない。
また、まだ考えがまとまっていない部分も多い。メモ程度だと思って欲しい。
●私が執筆した電子ブック
私は、3年前の2007年9月に「LEGO Technic 虎の巻」という本を、PDFファイルで公開した。
A4サイズ 215ページ。フルカラーの電子ブックである。
ノンプロテクト。転載自由。
継続的に利用する場合は、1000円または10ドルをPayPalなどで支払う、シェアウェアのようなシステム。
文字が入っているのは、表紙から3ページまで。以降は写真と数字のみ。「文字のない本」つまり言語や年齢で読者を制限しない本である。
この本を「電子ブックで流通させること」になった経緯を簡単にまとめると、次のようになる。
絶版になっている私の本「レゴのしくみで遊ぶ本」に対して、復刊ドットコムで200人に近い方の復刊希望の署名が集まった → 出版社やレゴ社など関係各社に復刊を再三お願いした → しかし、さまざまな事情で実現できなかった → 著作者と読者がこれだけ復刊を希望しても無理なんだ‥。
ここで考えた。
同じコンセプトの本を新たに作ろう。
ただし、同じことを繰り返さないために、自分ひとりですべてを作り上げ、それを誰の手も借りずに流通させよう。
そして生まれたのが、電子ブック「LEGO Technic 虎の巻」である。
構成、文章からデザインレイアウト、写真撮影まで、すべて私の手作りである。
●電子から紙へ(日本)
「LEGO Technic 虎の巻」を公開してすぐ、日本の出版社から「紙の本にしたい」と連絡が入った。
電子ブック「LEGO Technic 虎の巻」の配布継続を条件に、応じた。
出版社側から「少しでもいいから文字による説明を入れたい」との依頼があった。日本国内のみの流通だからそれもいいか − と考え、応じた。
こうして出版されたのが「ブロックで作るキカイの本」3部作である。
●電子から紙へ(韓国)
2年ほど前、韓国の出版社から「紙の本にしたい」と連絡が入った。
同じように、電子ブック「LEGO Technic 虎の巻」の配布継続を条件に、応じた。
この出版社には、韓国内でのみの出版権を与えた。
ただ、なぜかこれは未だ出版に至っていない。
●電子から紙へ(アメリカ)
昨年、こんどはアメリカの出版社から、「紙の本にしたい」と連絡が入った。
こちらも、電子ブック「LEGO Technic 虎の巻」の配布継続を条件に、応じた。
こちらは、判型は変更するものの、「文字のない本」というコンセプトを引き継いだ本になる予定である。
タイトルは、「The Unofficial Lego Technic Idea Book」。これも3部作である。
●収益
まず、電子ブック「LEGO Technic 虎の巻」の著作権は、誰にも譲渡していない。配布も継続している。
大体、執筆時に想定した人数の入金があり、今もポチポチと入金がある。
PayPalの手数料以外は、誰もマージンを持っていかないので、100% 印税のようなものである。
「ブロックで作るキカイの本」はだんだん在庫数が減ってきているようだ。
出版社の関連部署の動きを見ていると、増刷は難しいかもしれない。
「The Unofficial Lego Technic Idea Book」はどうなるのか。アメリカの出版事情もよくわかっていないので、本当に不明である。
しかし、初版部数などは、日本の出版社とは大きく違う。マーケット規模が違うようである。
●電子ブックからスタートするメリット
なによりのメリットは「LEGO Technic 虎の巻」の配布をいつまでも継続できることである。
たとえ、「ブロックで作るキカイの本」が絶版となったとしても、媒体は異なるものの、情報は伝え続けることができる。
未来永劫、自分の本はなくならない − 著者としてこれほどの安心感はない。
世界各国の出版権を、自身でコントロールできることも大きなメリットだ。
たとえば、日本の出版社の「紙の本」からスタートした本を、海外の出版社が翻訳出版する場合、日本の出版社は中間マージンを取る。つまり、海外版の本の印税のうち、何パーセントかを日本の出版社が持っていく。アメリカの印税は、定価でなく販売価格をベースに計算する。ただでさえ小さい印税が、さらに少なくなる。
「LEGO Technic 虎の巻」の場合、オリジナルはあくまでも、PDFファイルである。だから、各国の出版社から出版のオファーがあれば、自分の判断で可否を決定することができる。もちろんどこかの出版社に中間マージンを取られることもない。
●電子ブックからスタートするデメリット
出版社から「紙の本」としてスタートする場合は、編集者をはじめ、さまざまな専門家がサポートしてくれる。もちろんその作業費用は出版社が持つ。さらに少なくとも初版部数の印税は確保できる。
一方、電子ブックからスタートする場合、すべて自腹である。編集者を雇わない場合は、自分の力で「本の質」を高めなければならない。さらに作り上げた本が売れるかどうかは一切わからない。
つまりリスクは、相応にある − ということだ。
●これからの電子ブック
Amazonのkindle、AppleのiBooksをはじめ、さまざまな形で電子ブックの流通がはじまっている。
私は「紙の本」の流通量が激減することは確実だと思っているが、消えるとは思っていない。
特に私の本のようなコンテンツは、必ず「紙の本」のニーズがあると思う。
今、私は2冊の本の構想を立て、時間を見つけて執筆をはじめている。
その本を、どんな媒体で、どんな方法で流通させるのか、まだ決めていない。
たとえば、その本をiBooksに登録したとしよう。
その後、出版社からその本を「紙の本」にしたいと申し出があったとき、私はどうすればいいのか。
Appleにお伺いを立てることが必要なのか、Appleはマージンを取るのか、それは何パーセントなのか、あるいはAppleは何かしらの権利を主張するのか − まだ、はっきり理解していない部分が多い。
確実な料金徴収システムと引き換えに、著者は何を失うのか。しっかり見極めなければならない。
あまりに失うものが多いのであれば、「LEGO Technic 虎の巻」と同じように、PDFファイルで配布する方法もあるのだ。
ただ、出版社と組んで「紙の本からスタートする」という選択の可能性は、今のところほとんどない。
LEGO Education Conference ― 2010/05/25

来月、6月20日、日本科学未来舘で「レゴ エデュケーション カンファレンス 2010」が開催される。去年に引き続き、2回目の開催。
対象は、幅広い「教育関係者」。
レゴブロックを使って「楽しく学ばせる」ための教材紹介やケーススタディなど、内容は盛りだくさん。
教材としてのレゴブロックをご検討の方は、ぜひ。
東京都市大学で授業 ― 2010/05/27

昨日の授業。
とても楽しい授業でした。
特に後半の自動車レースワークショップ。

トーナメント方式で先にゴールした方が勝ち − という単純ルール。
予選でおもしろかったのは、最初からそこそこのスピードで走る車を、加速は劣るものの後半の最高速で追い抜く大逆転劇。
3台が同時に走る4位決定戦では、優勝候補だった2台が椅子に激突。キャタピラ駆動の鈍足マシンがゴールするドラマティックな展開。
最終の決勝戦は、安定した走りの3台が争う白熱のレース。僅差で優勝マシンが決定。
私自身、授業の経験を積むことで、「受講者の作業の進行状況と残り時間を見ながら、ヒントや助け船を出すタイミング」や「受講者に欠けている知識や経験をいち早く把握して、ミニ講義などで補う」といった臨機応変な対応が、少しずつできるようなってきている。
レゴブロックを使った授業で「楽しく学ぶ」のだ。受講者も自分も。
小池星多先生、シューマイ弁当ご馳走さまでした。(^_^)
授業のお手伝いをしてくれた4年生のおふたり、ありがとうございました。
パーツ考察 − 20 ― 2010/05/28
私の好きなパーツのひとつ。クラッチギア。これ。
あるトルク以上の力がかかると、中央のシャフト穴と回りのギアが空回りするギア。
左は「2.5・5.0 Ncm(ニュートンセンチメートル)」という刻印のあるもの。右はないもの。刻印のある方が古いはず。BrickLinkでは、区別されていない。
上の例は、Pneumatic(ニューマチック)のポンプ。この先にエアータンクがつながる。
エアータンクに一定以上の空気が圧縮されると、クラッチギアが空回りしはじめ、機器の過負荷や破損を未然に防ぐ。
これは、機器の構造上、必要不可欠な使用例である。
上の例は、8足歩行マシン。子どもなどが「むんず」とマシンを持ち上げたり、押さえつけたりして、強制的に足の動きが止められても、分解しないようにクラッチギアを使っている。
こちらはフェイルセーフとしての使用例だ。
動力伝達系の中で、どの位置このクラッチギアを挿入するかによって「空回りがはじまるトルク」が変わる。ある程度、試行錯誤する必要がある。
なお、「もっと強いトルクまで、空回りをガマンしてほしい」ときは、下の写真の右の例のように、クラッチギアをタンデムで使うのもいい。
衝動的iPad ― 2010/05/29

いや、あの、その‥ 当面、買う予定はなかったのですが‥。
昨日は、歯医者に行ったので、その帰りに銀座にでも寄ってiPadの現物でも触ってみるかと電車に乗って、iPhoneでtwitterを見ていたら、「池袋bicは予約ナシで買えるらしいぞ」とtwittが流れてきて、気がつくと、池袋の地でiPad予約券(当日引き渡し券)を握りしめて、ファミレスの生ビールで祝杯をあげていました。
んでもって、何事も外側から入っていく(例えるならギターを買ったら、ギターの練習をはじめる前に、カッコいいギターケースとミュージシャンらしいファッションを模索するみたいな)私の場合は、iPadに自分に合ったアプリを入れるとか、革新性を検証するとか、未来の書籍の在り方を考察するとかする前に、そのiPadちゃんが美しく佇む、あるいはどっしり鎮座する「指定席」が必要だと考えてしまうのです。
で、スタンド。
でも正直やっつけ仕事。(^_^;) まだまだ熟成が足らない。これからの進化に乞うご期待。
そうそう、夕べ寝室で横になってiPadを使っていたのだが、結構重い。ベッド用のスタンドが必要だと感じた。この週末は、これに取りかかろう。
江戸と着物と鰻と私 ― 2010/05/30

久しぶりにイベントのない週末。
気分転換に以前訪れた「ワープステーション江戸」までドライブ。
ドライブといっても私は助手席、iPhoneでナビゲーション。運転の担当は彼女。

はりぼて風味 (^_^;) の江戸情緒を楽しんできた。
ただ、以前訪れたときにあったアトラクションもなくなり、観光客も減っている印象。
その分、テレビや映画のロケの比重が大きくなっているようだ。
昨日もNHKの大道具(?)の人々が時代劇(荷物に「まっつぐ」とか書いてあった)のセットの準備をしていて、立ち入り禁止区域が多かった。
帰りは、牛久沼のほとりの鰻屋「鶴舞屋」にて、ビールと鯉のあらい、うな重をいただく。
家のそばのお気に入りの店「鰻上」(月に1回は通っている)に比べると、しっかりめの焼きだが、堅めのご飯との相性もよく、おいしくいただいた。鯉のあらいも美味しかった。
なお、着物は川越唐桟(かわごえとうざん)。呉服笠間で誂えたもの。
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